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労働基準法には、使用者側が労働時間を記録する義務は書かれていない!

 労働者が出勤・退勤した時刻を使用者はタイムカードや何らかのシステムで記録するのが一般的だが、実際には何の記録もさせていない企業も多々存在する。

 では、労働基準法の条文には、使用者が労働時間を記録しなければならないということが定められているのだろうか。

 答えは否である。労働基準法には、労働者の労働時間を使用者が記録する義務は直接的には規定されていない。

 これについて厚生労働省の見解としては、直接の条文では定めがないものの、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」の中で、

「労働基準法においては、労働時間、休日、深夜業等について規定を設けていることから、使用者は、労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有していることは明らかである。」

 と述べている。つまり、労働基準法の条文の中には、直接的に出退勤時刻を記録するような定めは記載されていないけれども、労働時間などについての規定はあるから、そこから解釈すれば、明らかに使用者には労働時間を「適切に把握・管理」する責務がある、と言っているのである。

 しかし、「労働時間を適切に把握」することと、「労働時間を(客観的に)記録」することとは必ずしも同じではない。また、使用者が実際に労働時間を記録しなかった場合に、そのことだけで直接的に使用者にペナルティが科されるわけでもない。(ただ単に労働時間を記録しなかったというだけでは、労働基準法違反にならないからである。労働時間に応じた賃金が支払われなかったり、労使協定を結んでいないのに残業をさせたりした場合に、初めて労働基準法違反の問題になる。)

 行き過ぎた長時間労働や残業代不払い等の問題が生じたときに、労働時間が客観的に記録されていない場合、労働者としては労働時間の立証ができず、非常な困難をこうむることがある。このような場合に不当な結果になるのを防ぐため、労働基準法で直接的に使用者が労働時間を記録する義務を規定して、その義務を使用者が果たしていない場合、労働時間についての立証責任を使用者に科する(たとえば労働者が一定の残業をしたことを主張していて、労使間で見解が違う場合、使用者の側がそうでないことを立証しなければならない)という扱いをするべきではないだろうか。

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