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女性の社会進出を妨げるのは「配偶者控除」ではなく「配偶者控除の限度」だ

配偶者控除の廃止や見直しがまたもや検討されている。この問題は以前もこのブログで触れたことがあるが、「配偶者控除は、女性の社会進出を妨げている」などという言い方もかなりおなじみになってきた。

ここでは夫がメインで働いている家庭の妻を念頭におくが、妻がパートなどの仕事をしたとしても、その収入が103万円を超えると、夫が配偶者控除を受けられなくなり、結果として税負担が上がって、手取りが減ってしまうとされる。だから妻はあまり勤務できない(ただし、さらに勤務を増やして収入が増えていけば、いずれまた手取りは増えるわけだが、それは別として)。よって、配偶者控除は、女性の社会進出を妨げている「壁」であり廃止すべきだ、というわけである。しかし、このような言い方は果たして妥当だろうか。

一般的な言葉遣いとしては、「妨げる」というのは「邪魔する」ということであり、さらにいえば「それ以上進むことを妨害する」ということである。人間の行動を妨げる方法は何かというと、物理的に押さえつけるのが無理であれば、不利益を与えることによってである。

それでは、配偶者控除は、上記の意味で、女性の社会進出(就労による活躍)の「妨げ」になっているのだろうか。配偶者控除そのものは、上で書いたとおり、妻の所得が一定以下の場合に夫が控除を受けられるというだけのことであって、利益を与えるものであり、それ自体には何も不利益はない。不利益を与えないものを「妨げ」と呼ぶのはおかしな話である。

実際は、「配偶者控除が受けられなくなると税負担が増えるので、妻が一定限度以上働かない」ということである。つまり、女性の社会進出の「妨げ」になっているのは、「配偶者控除」ではなく、「配偶者控除の限度」(=配偶者控除を受けられる所得の限度)なのである。

従って、女性の社会進出の「妨げ」を取り除きたいのであれば、配偶者控除を廃止するのではなく、「配偶者控除の限度」を廃止するのでなければおかしいということになる。

配偶者控除があるから働けないのではなく、配偶者控除を受けられなくなるのが困るから働けないのである。

たとえば、ある家の中に、暖房の効いた暖かい部屋Aがあり、さらにその隣に寒い部屋Bがあるとしよう。部屋Aにいる人間は当然、寒い部屋Bには行きたがらない。部屋Aにいる人間が部屋Bに行くのを「妨げ」ているのは、何だろうか。部屋Aが暖かいことだろうか。それとも部屋Bが寒いことだろうか。常識的な言葉遣いで考えれば、部屋Bに行くのを「妨げ」ているのは、部屋Bが寒いことであって、部屋Aが暖かいことではないだろう。人を部屋Bに行かせたいのであれば、部屋Bを暖かくするべきであって、部屋Aの暖房を切るべきではない。配偶者控除廃止論者は、部屋Bを暖めることによってではなく、部屋Aの暖房を切って冷やすことによって人を無理に移動させようとしているのである。

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