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仕事の速い人間が早く帰れるとは限らない件

残業のことが世間で改めていろいろ話題になっているので、また思い出話を一つ。

20年ほど前のことになるが、私が前に勤務していた会社で、課長クラスの一つ下の階層の従業員(世間一般の呼び方としては、いわゆる「係長」とか「主任」のクラス)に対して、残業代20時間分の「手当」を固定的に支給することになった。この制度はおそらく現在も続いているだろう。

各事業所の人事・労務担当者を集めた本社の会議で、制度の説明が行われた。会社としては、「残業代を20時間分しか払わない」という趣旨ではなく、実際の残業が20時間を超えたら、この手当とは別に、通常の残業代も払うということであった。(実際、給与計算システムはそのような設定になっていた。)

さらにこの20時間分の手当の導入と同時並行で、この手当を受ける「係長」「主任」クラスの従業員は、出退勤の時刻の管理を、タイムカードやIDカードで機械的・客観的に記録するのではなく、パソコンの専用アプリに自分で入力することとされた。
会社の本音としては、極力、20時間を超える残業時間の申告が出ないようにして、残業代の抑制をさせようとしていることは、誰の目にも明らかだった。

本社の人事部門のスタッフは、次のようなことを言っていた。

「普通に残業代を支給する方法だと、仕事を速く済ませられる人は早く帰れるので、あまり残業代の支給がない。これに対して、仕事の遅い人は、残業時間が長くかかるので、残業代を多く支給される。これは不合理だ。そこで、早く帰れる人にも、一定の手当が付くようにした。また、残業をする人も、出来るだけ20時間内で仕事を効率的に済ませられるように努力するようにさせたい。」

一応これはそれなりに筋の通った理屈のように思われたが、よくよく考えてみるとそうでもないと思えてくる。
優秀で仕事を速く済ませることができて、やるべき業務を17時かそれ以前に終わらせてしまうような人がいたとして、会社はその人をそのままにしておくだろうか。毎日17時で帰らせておくだろうか。
そうではないだろう。17時以前に仕事が終わってしまう優秀な従業員がいたら、上司はその従業員に対してさらに仕事を増やしていくだろう。

逆に、非効率で、他の人間なら17時に終わらせられる仕事を、夜遅くまでかかってやり遂げるような人がいたら、いつかは仕事を召し上げられて別な人間に回され、その人はもっと重要度や負荷の低い仕事を与えられるのではないだろうか。

(以上は、従業員を簡単には解雇することがなく、ある程度人員が豊富な、一般的な日本の大企業を前提とした話である。私のいた会社はそういうところだった。中小企業やベンチャー企業などはまた違ってくるだろう。)

ともあれ、このような思惑を会社が抱えながらも、20時間の手当+勤務時間自己入力の制度が開始した。

しばらくして、上司から残業時間を実態より少なく入力するように指導されて不満をもった誰かが、労働基準監督署に通報したのだと思うが、監督署から一部の事業所に調査が入り、労働時間の管理を従業員の自己入力に任せるのは望ましくないとか、実労働時間をちゃんと把握して20時間を超えた部分については残業代を適切に支給するように、という指導がなされた。

それはともかくとして、世間でよくいわれる「優秀で仕事の速い人は、すぐ仕事を完成させるから、早く帰れるはずだ」という理屈は、多くの会社の実態には合わないのではないかと今でも私は考えている。仕事がすぐ済むような人間には、新たな仕事を会社はどんどん与えて使おうとするものである。

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