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日本の転職市場と終身雇用

「日本には転職市場がない」という言い方は今でもよく聞かれるが、一昔前ならともかく、現在は、かなりのところ転職者が職探しをする仕組が形成されてきているのではないかと思う。各種の転職斡旋の会社の広告も新聞雑誌やネットや電車内でおなじみになった。
NIKKEI STYLEの記事「会社を辞めた40代課長3000人の『転職のリアル』」 の中で、ミドル世代専門転職コンサルタントの黒田真行氏は、「数字の上ではバブル期を超えたといわれる転職市場の活況は今も続いています。」という言い方をしている。

ただ欧米と少し違うのは、日本ではまだまだ大企業では終身雇用(または長期雇用)制度が崩れず残っているということだろう。欧米、特に米国では簡単に解雇されて簡単に転職先をまた見つけるというイメージがあるが、日本の場合は、解雇ではなく、自己都合の退職や退職勧奨で会社を離れて転職するのがまだ主体なのだろう。

その意味で、おそらく欧米の規模には及ばないのだろうが、自己都合で辞めることに従来以上に心理的抵抗が少なくなって退職が増えていけば、転職市場もそれなりに形成されていく。逆に転職市場が形成されれば、それが自己都合での退職への心理的ハードルをさらに下げていくともいうことができるだろう。

また日本の大企業は、不況や経営難で人件費を削減する際には、中高年を標的として(ストレートな解雇ではなく)退職勧奨などを行うと共に、新卒の採用削減も行うのが普通だが、そのため一定の年齢層が足りないという現象が起こるわけで、景気や業績が回復してくると中途採用で不足分を埋める需要が出てくることがある。

終身雇用を前提にしても、それなりに転職市場は育ってくるものだろう。その意味で「終身雇用を潰さなければ転職市場ができない」というような単純化した主張には賛成できない。ただし転職市場がさらに育ってくると、長い目で見て、終身雇用の維持に対する執着のようなものが社会全体で徐々に弱まっていくということはあるかも知れない。

また、そもそも新卒を惹きつける力が弱い中小企業では、もともと新卒一括採用などできないので、中途採用を中心にせざるを得ないところも多い。たとえば私が勤務していた某大手メーカーは、もちろん典型的な日本的終身雇用が基本だったのだが、その子会社や孫会社になると、かなり活発に中途採用を行っていた。そういう現場を見ていると「日本企業が新卒採用中心というのはごく一部だけではないか」と感じてしまうのである。

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