最近のトラックバック

人気ブログランキング


フォト

« 安冨歩東大教授の琉球新報での発言について | トップページ | 真実を知りたいという願いをかなえるのは難しい件(大川小学校の判決について) »

市民団体代表ら、蓮舫を東京地検に告発へ(法律面での検討)

 民進党の蓮舫代表の二重国籍の問題で、市民団体「愛国女性のつどい花時計」の岡真樹子代表らが28日、国籍を選択する義務を怠り、参院選で虚偽の事実を公表したとして、国籍法違反と公職選挙法違反の罪で蓮舫氏に対する告発状を東京地検に提出したという。

 産経新聞の記事 によれば、「告発状によると、蓮舫氏は17歳だった昭和60年(1985年)1月に日本国籍を取得。国籍法に基づき、22歳になった平成元年11月28日までに日本国籍か台湾籍のいずれかを選択する義務があったにもかかわらず、今月7日に選択の宣言をするまで義務を怠った。また2016年7月の参院選(東京選挙区)に立候補する際、国籍選択の義務を果たしていないにもかかわらず、選挙公報に「1985年、台湾籍から帰化」と記載して虚偽の事実を公表したとしている。」とのことである。

 なお、ネット上の各種情報を仮に信用するならば、「1985年、台湾籍から帰化」と記載されていたのは、2004年の参議院選挙の選挙公報であり、今年の選挙公報には特にその点は何も触れていなかったようである。(その間の2010年の選挙公報については不明。)

 さてここで、二重国籍の是非とか、政治家の国籍がどうあるべきかとかの議論は一切ぬきにして、この告発について純粋に法律面で検討してみよう。

 実際の告発状が公開されていないようなので、この記事しか判断材料がないが、申告されている犯罪事実としては、「国籍法違反」「公職選挙法違反」とされている。

 まず国籍法違反については、22歳に達するまでに日本国籍を選択しなければならないにもかかわらず(国籍法14条1項)、それを怠ったということである。
この国籍法第14条1項に違反した場合の罰則はない。ただしこれを踏まえた第14条2項によれば、国籍の選択は戸籍法の定めるところによって行うこととされている。
そして戸籍法第104条の2第1項では、「国籍法第14条第2項 の規定による日本の国籍の選択の宣言は、その宣言をしようとする者が、その旨を届け出ることによつて、これをしなければならない」とされているので、国籍法14条1項に違反するということは、すなわち戸籍法第104条2第1項に違反するということになる。

 この戸籍法第104条2項第1項に違反した場合は罰則があって、戸籍法第135条で「正当な理由がなくて期間内にすべき届出又は申請をしない者は、5万円以下の過料に処する。」とされているので、結局のところ蓮舫は、国籍法第14条違反→戸籍法第104条の2第1項違反→戸籍法第135条という段取りで、5万円以下の過料を科される可能性があるということになろう。

 次に公職選挙法違反については、公職選挙法第235条第1項で「当選を得または得させる目的をもって・・・身分、職業もしくは経歴・・・に関し虚偽の事項を公にした者は、2年以下の禁固または30万円以下の罰金に処する。」とされている。
 そこで、蓮舫が、昭和60年1月に台湾籍を残したまま日本国籍を取得したことについて(この前提が事実なのかどうかわからないが、いちおう記事に従っておく)、「1985年、台湾籍から帰化」と選挙公報に記載したことが「虚偽の事項を公にした」といえるのかどうかが問題となる。

 国籍法でいう「帰化」とは、法務大臣の許可を受けて国籍を取得することであり、原則として「日本の国籍の取得によってその国籍(=もとの国籍)を失うべきこと」が要件とされている(国籍法第5条1項)。

 蓮舫の場合、法務大臣の許可を受けて日本国籍を取得したのではなく、法務大臣への届け出(国籍法附則(昭和59年5月25日)第5条)により日本国籍を取得したのだから、厳密には「帰化」ではなく「1985年、届け出により日本国籍を取得」とするべきだったのだろうが、これを「台湾籍から帰化」と書いたのが「虚偽の事項」とまで言えるかどうかは、なかなか難しいのではないだろうか。まあ「台湾籍から帰化」とすると、台湾籍はその時点で失ったような印象であるが、「台湾籍を放棄」と書いたわけでもないので、これをもって「虚偽の事項」とまで断定するのは少々難しいような気もする。

 仮に「虚偽の事項」に該当し、公職選挙法235条第1項の罪を犯したとして、刑罰は2年以下の禁固であるから、公訴時効は3年である(刑事訴訟法第250条第2項6号)。
選挙公報で問題の「台湾籍から帰化」の記載をしていたのは、2004年(平成16年)であるから、既に公訴時効は成立している。(2010年の選挙公報だとしても同じである。)

 なお選挙公報とは別に、蓮舫が自分の公式サイトで2013年(平成25年)まで同様の記載をしていたという情報もネットで出回っているが、仮にそれが事実だとしても、単に告発しただけでなく、検察官が公訴を提起しないと、そのまま公訴時効は進行して2016年が終わってしまうので、公職選挙法違反については、結局時効が完成してしまうのではないか。

 そうなると、蓮舫について何か罰則に問われる可能性があるのは、戸籍法第104条2項違反での第135条の過料の問題だが、そもそも「過料」とは行政罰であって刑罰ではないから、刑事訴訟法は適用されない。

 すなわち国籍法第14条違反→戸籍法第104条の2第1項違反については、刑事訴訟法が適用されないのだから、刑事訴訟法で定める「告発」の規定も適用されないはずである。

 以上から、①公職選挙法違反については、かりに235条1項違反に該当するとしても、公訴時効が成立している(成立する)可能性が極めて高く、②国籍法違反については、そもそも検察官が扱う「犯罪」には含まれておらず、行政上の義務違反にしかならないことから、東京地検は今回の告発をうけて蓮舫氏について公訴を提起することはなさそうである。

(★実際の告発状を見ていないのだが、おそらく犯罪として記載されているのは①の公職選挙法違反の部分だけで、②の国籍法違反は、①の公職選挙法違反の構成要件である「虚偽の事項」の内容として引用しているだろう。もとの記事だと①も②も犯罪として告発したかのように読めるが、②は行政上の義務違反であり違法ではあるが、刑事訴訟法上告発できる「犯罪」ではない。)

« 安冨歩東大教授の琉球新報での発言について | トップページ | 真実を知りたいという願いをかなえるのは難しい件(大川小学校の判決について) »

ニュース」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

もう一つ、告発が出されているのでしょうが、起訴の可能性はあるのでしょうか?告発状も公開されています。

告発状
http://r4kokuhatsu.wixsite.com/jouhouteikyou

夕刊フジの記事
https://news.infoseek.co.jp/article/16fujizak20161216016/

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/454842/68154973

この記事へのトラックバック一覧です: 市民団体代表ら、蓮舫を東京地検に告発へ(法律面での検討):

« 安冨歩東大教授の琉球新報での発言について | トップページ | 真実を知りたいという願いをかなえるのは難しい件(大川小学校の判決について) »

2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
無料ブログはココログ