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「サザエさん」を理想とする日本会議は大丈夫か?

 毎日新聞の記事 によれば、日本会議の関連団体が製作した啓発用DVDで、憲法24条(★注)により家族の解体が進んだ結果、様々な社会問題が起きているとして、3世代同居のサザエさん一家を理想として持ち上げているということである。

(★ 日本国憲法第24条は次のとおり。

  「  第1項 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
   第2項 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。 」

 詳細は省くが、平等な男女が個人として自由な意思により婚姻して成り立つ「夫婦」が家族の基本単位とされている。)

 このように、日本会議のようないわゆる"保守"系とされる論者には、2世代や3世代が同居する大家族を理想とする主張をする人が見受けられる。(このような大家族の形が、いつの時代から日本にあったのか等々の話になると、おそらく複雑な議論になってしまうと思うが、そこは省略する。)しかしこのような大家族が解体してきたのは、憲法24条や左翼(?)思想のせいではなく、大都市圏の発展や高度経済成長が進み、農林水産業や自営業が衰退してサラリーマン(賃金労働者)が多数を占めるようになったことなどが原因だろう。

 実際問題として、仮に3世代同居の大家族を作ろうと思ったら、それなりの大きな一戸建ての住宅が必要となるが、一体どこに建てれば良いのだろうか?予算、通勤や通学との兼ね合いなどでたちまち困難に陥ってしまう。(ただし農林水産業や自営業であれば、「通勤」は考慮に入れる必要はない。)

 また、企業なり役所なりに勤務している夫(場合によっては妻も)が転勤を命じられたら、どうするのか。子どもを地域の公立学校ではなく遠隔地にある進学校に行かせたい場合はどうするのか。
 さらに、こういう心配以前に、そもそも雇用も賃金も不安定で、家を建てるどころか、結婚も出産もおぼつかない者の場合は、どうすれば良いのか。

 このように、2世代や3世代同居の大家族を"復活"させるのが困難なのは、憲法の問題ではなく、現実問題として必要な条件を整えることができないことが原因なのである。

 折も折、皮肉なことに「サザエさん」の視聴率の低迷が話題になっている(たとえばこの記事参照 )。あまりに現実とのギャップが激しく、昭和時代にノスタルジーを感じない視聴者にとっては、ほとんど異世界の出来事としか思えないからであろう。
 東京都内で、広い庭を備えて1階で用が足りるほど広い一戸建てに住み、会社勤めの夫が夕方早く帰ってきて全員で夕食を食べる「サザエさん」の世界は、逆説的な意味では確かにある種の“理想”かも知れない。現実には決して得られないだろうという意味の“理想”である。

 安倍政権の支持率は高く、世論の中に比較的“保守”寄りの声も多いとは思うが、さすがに日本会議の唱える大家族志向にはついていけない人がほとんどだろう。

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