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トランプを安直に「ヒトラー」に喩えない方が良いのでは?

 トランプをヒトラーになぞらえる発言があちこちで相次いでいる。
たとえば想田和弘氏は、自分のfacebookで1922年のニューヨークタイムズは「ヒトラーは大勢の支持者を得るためのエサとして、反ユダヤ主義的主張を利用しているに過ぎない」と論評し、ヒトラーの危険性を軽視していた。現在のトランプをノーマライズする論理と似ていることに驚かされる。」と述べた。

 このように、トランプに対する比喩として「ヒトラー」を用いる場合、ヒトラーの持っていたどの要素に着目しているのか、つまり具体的にはヒトラーのどの部分とトランプが似ているのか、比喩を使う人間は整理する必要があるだろう。
少なくとも3つの要素が考えられる。

 (1)ヒトラーがユダヤ人差別や虐殺を行ったように、トランプも人種や民族等に着目した差別や虐殺を行うという意味なのか

 (2)ヒトラーが全権委任法によって独裁権を握ったように、トランプも独裁者として政治を行うという意味なのか

 (3)ヒトラーが第二次世界大戦を開始したように、トランプも大規模な戦争を開始するという意味なのか

 どの意味にしても、「ヒトラー」というのは、「人類として許せない、存在を認めてはいけない、おぞましい、世界を破滅に導くような、とうてい共存できない政治家」、さらにいえば「論証の必要もないほどの絶対悪」というものの代名詞のように使われているわけである。

 このように「ヒトラー」呼ばわりするということは、絶対悪ということだから、妥協や前向きな評価の余地はなく、排除、反対するしかないということになろう。
 そうなると、まずトランプ支持者との間では当然のことながら対話が成立しないことになるが、問題はそれだけにとどまらない。さらに、トランプを(必ずしも支持はしないにしても)絶対悪とは考えていない人との間でも話が通じなくなってくるのである。

 一方の立場の者にとっては、トランプ=ヒトラーであり、世界を滅ぼす大悪魔のような存在である。
 別な立場の者にとっては、トランプは、良い政策か悪い政策か、いずれにしても何らかの政策をする一政治家にすぎない。
 この2つの立場の人間の間で果たして対話は可能なのだろうか。

 今回の米国の選挙では、トランプ支持者と不支持者(必ずしもクリントン支持者ではない)との間で、大きな断絶が浮き彫りになったと言われている。
 今後は、いつまでもトランプが高い支持率を誇っていられるわけではないと思うが、それにしても、トランプの政策に対して是々非々、ケース毎の賛否で考えていきたいという人間と、トランプはヒトラーのような絶対悪だと考えている人間との間で、絶望的な断絶が生まれていくのではないだろうか。

 なお、「トランプ=ヒトラー、大悪魔」のような発想で考えている人にとっては、予想どおりトランプが世界を地獄に落とすようなことを何かやってくれれば顔が立つ(?)のだろうが、仮にそこまでいかず、ほどほどの政策の範囲内で収まってしまった場合、引っ込みがつかなくなってしまうのではないだろうか。

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