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憲法改正の国民投票を一度でもやれば「押しつけ憲法」論は消滅する

日本国憲法施行70周年を迎えたが、憲法改正について一言。

日本国憲法の成立過程については、改憲派の立場から、いわゆる「押しつけ憲法論」が根強く主張されている。どの程度まで日本国民の意向が内容に反映されていた(いなかった)と言えるのかについては様々な議論があるだろうが、いずれにしても、実際問題として、占領軍の意向を無視した憲法を成立させることができなかっただろうという点は今さら否定できない。

(もちろん「押しつけ憲法」でないとしても、改正が必要だという主張は論理としては成り立つが、「押しつけられた憲法だから改正すべき」という主張は、常に一定程度の説得力をもって存在してきた。)

 参議院選挙以後、憲法改正を目指す政治的な動きもいろいろと見えているところだが、仮に将来、国会で何らかの憲法改正の発議が行われ、国民投票を行ったにもかかわらず、改正に賛成する投票が投票総数の過半数に至らずに、承認されなかった場合、どうなるだろうか。
 もちろんその場合、国民の承認を得られなかったから憲法改正が行われないということになるのは当然だが、その政治的な意味としては、単に「憲法改正案が国民に承認されなかった」というだけでなく、「現行の憲法が国民によって信任された」ということにもなる。

 つまりその瞬間に「押しつけ憲法」論は成り立たなくなり、現在の日本国憲法は、国民が自分の意思で(消極的に・・・であっても)国民投票により選択した憲法となるわけである。改憲を主張する人々にとっては、国民投票で承認を得ることに失敗した場合、そのことは、単に改憲に失敗するというだけでなく、「押しつけ憲法」論が二度と使えなくなるという意味で、二重のダメージとなるだろう。

 さらにいえば、現在の日本国憲法は、形式上は、大日本帝国憲法を帝国議会の決議で「改正」することによって成立したという体裁を採っているのだが(★注)、国民投票で改正発議が承認されなかった場合、実質的には、国民が現在の日本国憲法を投票によって直接選んだということになる。つまり国民の意思によって日本国憲法が選択し直されたのであり、大日本帝国憲法との形式的なつながりすら断絶されるに等しいインパクトがあるということもできるだろう。

(★日本国憲法の前文の前には、昭和天皇の上諭が次のとおり記載されており、日本国憲法が、帝国議会の議決を経た大日本帝国憲法の改正の手続を経て成立したこととされている。

 「朕は、日本国民の総意に基いて、新日本建設の礎が、定まるに至つたことを、深くよろこび、枢密顧問の諮詢及び帝国憲法第七十三条による帝国議会の議決を経た帝国憲法の改正を裁可し、ここにこれを公布せしめる。」

 ただし、これは形式的には「改正」だが、実際は主権者が天皇から国民に変わったという点で、「改正」ではなく「革命」であり、新たな憲法の制定にあたる・・・というのが、憲法学の通説とされている。詳しい議論はここでは省くが、いずれにしても“形式上”は、大日本帝国憲法の「改正」手続を経て日本国憲法が成立したという体裁を取っている。)

 以上は憲法改正が承認されなかった場合の話だが、「押しつけ憲法論」が使えなくなるのは、憲法の一部の条文だけの改正が承認された場合にも、同じことである。(というより、「改正すれば押しつけ憲法でなくなる」というのが、改憲派のロジックだし、実際それ自体は何も間違いではない。)一部の改正があるとしても、日本国憲法が全体として国民に選ばれたことになるからである。

 極論をいえば、ただ単に「第○条の『××は』を『××が』に改正する」という類の、わずかな語句や文字レベルだけの改正案であっても、ひとたび国民投票を行えば、承認されようとされまいと、その時点で「押しつけ憲法」ではなくなる。

 つまり、国民投票を一度でもやるということは、どんな改正案であろうと、結果がどっちに転ぶのであろうと、「押しつけ憲法」論が二度と使い物にならなくなることを意味するわけで、「押しつけ憲法」論は、最初の国民投票が行われるまでしか存在できないということである。

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