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天皇の地位と皇室典範と国会

 先日のエントリ「『天皇の地位は日本書紀の神勅に由来する』という安藤議員の主張」は、PVが普段に比べて異常に多くなって正直驚いている。皇室についての話題は大きな関心を集めやすいということだろうか?
 安藤議員の発言は、朝日新聞でしか取り上げておらず、他のメディアは一切無視しているので、それほど世間の話題になっているわけでもないし、当ブログでもそれほど大したことは書いていないつもりなのだが…。

 念のため補足しておくと、例の記事を読んだ限りでは、安藤議員の主張の主眼は、「天皇の地位は日本書紀の神勅に由来する」という部分ではなく、「皇室典範は、旧憲法の時代のように、国会が定めるのではなく、国会と無関係に皇室が決めるようにするべきだ」(そのように憲法を改めるべきだ)ということのようである。要は天皇の退位(譲位)とか継承のあり方などの問題は、皇族内部で自律的に決定するべきで、国会(さらには政府も?)が介入するべきではないということだろう。

 (具体的にいうと、現在の日本国憲法は、第2条で「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」と定めており、皇室典範の内容は国会が定めることになっている。従って現在の憲法を前提とする限り、国会の権限が及ばないような皇室典範を作ることは不可能である。)

 安藤議員としては「天皇の地位は神勅に由来するから、国民は絶対的に服従すべきだ」といいたいのではなく、「天皇の地位は神勅に由来するから、その地位についての問題は国会の意向に左右されるべきではなく、皇族が自ら決めるべきだ(=そのように憲法を改正すべきだ)」ということだろう。

 神勅云々の部分は別として、皇位の継承や退位の問題は皇族が自律的に決めるべきだという考え方それ自体は、一理あるとは思う。ただしそうだとしても、それは皇室典範を国会が改正して、「皇族が自律的に決める」という趣旨の規定を定めれば良いだけである。皇室制度が、国の財政(国民の税金)によって維持されているものである限り、国会が一切介入できないというのはさすがにまずいだろう。

(皇室のあり方に国会が一切介入する余地のないようにするべきだというのなら、国民の税金を一切使わないようなあり方を考えるべきである。)

 なお安藤議員は「日本最高の権威(天皇)が国会の下に置かれている」とも述べたそうだが、権威の部分はともかく、「国会の下」という言い方はどうなのだろうか。皇位継承について定める皇室典範は国会が制定するし、皇室予算も国会の議決に基づくものとされている。その意味で国会の統制が及んでいるのだが、これをもって「天皇は国会の下」と呼ぶべきかどうかは別問題である。

 誤解を招かないように言っておくと、逆に「天皇は国会の上」と言いたいわけでもない。 たとえば一般国民は、国会の制定した法律に従わなければならないが、「国民は国会の下」と言うべきなのだろうか?国民は主権者であり、国会議員を選出する権利を持つのだから、国民が国会より格下というわけではないだろう。要は「上」「下」という概念を持ち込むから混乱するのであって、「天皇は国会の上か、下か」という議論は必要なく、ただ皇位継承や予算などで国会の議決に従うということである。

(なお国会は国権の最高機関とされるが(憲法第41条)、これは政治的美称であって、国会が内閣や最高裁判所の「上」に立つという意味ではないというのが通説である。)

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