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「天皇の地位は日本書紀の神勅に由来する」という安藤議員の主張

朝日新聞の記事から:

「天皇の地位は日本書紀に由来」 退位巡り自民・安藤氏

 自民党の安藤裕衆院議員は17日の衆院憲法審査会で、天皇陛下の退位をめぐる皇室典範のあり方について「旧憲法(明治憲法)のように国会の議決を経ずに、皇室の方々でお決め頂き、国民はそれに従うという風に決めた方が日本の古来の知恵だ」と述べ、憲法改正を主張した。
 旧皇室典範は明治憲法と並ぶものと位置づけられ、制定や改正に帝国議会の関与はなかった。一方、現行憲法では天皇の地位は「主権の存する日本国民の総意に基づく」として、皇室典範は国会で定めるとしている。安藤氏は「天皇の地位は日本書紀における『天壌無窮の神勅(しんちょく)』に由来するものだ。日本最高の権威が国会の下に置かれている」と述べた。

 安藤議員の具体的な発言全体を読んだわけではないので、あくまでこの記事の範囲だけで感想を述べることとする。

 現在の日本国憲法では、記事にある通り、天皇の地位は「国民の総意」に基づくもので、 神の意志によるものとはされていない。

 ただし神道の考え方によれば、安藤議員のいうように、天照大神が孫であるニニギノミコトに向かって、その子孫(代々の天皇)が永遠に日本を治めることを述べたとされており、これが日本書紀の天壌無窮の神勅である。

 安藤議員が、天皇の地位は「国民の総意」ではなく「日本書紀の神勅」に由来すると考えているのであれば、それは神道、すなわち宗教的理念のレベルの問題ということになる。
(ただし、たとえばキリスト教徒や無神論者にとっては無関係ということになるだろう。)

 安藤議員がどのような憲法改正を考えているかはわからないが、日本の国家体制のあり方について、政教分離の原則を守るのであれば、憲法に「天皇は神勅に由来する」などと書くわけにはいかないはずである。(戦前の大日本帝国憲法とはその点が異なる。)
 それにもかかわらず「天皇の権威は神勅に由来するから、国会は介入するべきではない」という主張を徹底するのであれば、皇室を神道系の宗教法人にするしかなくなるのではないだろうか。ある宗教の理念に基づく権威を国家の制度に組み込むというのは、近代的な国家の憲法にはそぐわないからである。(★注)

 ところで神道の考え方の中では、天照大神は皇祖神であって、歴代の天皇の祖先とされ、伊勢神宮に祀られている。伊勢神宮をどのように運営するのかについて国会がコントロールするのは確かにおかしいわけで、現に国会が口出しできることではなく、宗教法人たる伊勢神宮(さらには包括宗教法人である神社本庁)が自ら決めている。
ただし伊勢神宮は国家の機関ではなく、憲法に規定されているわけではないし、国の税金で運営されているわけでもない。 

 安藤議員の主張どおり「天皇の権威は神勅に由来するから、国会が皇室に口を出すべきではない。」というならば、上述のとおり、皇室も、この伊勢神宮と同じような立ち位置になるのが望ましいということになろう。天皇は神により権威を与えられているから国会が口を出してはならないというのであれば、それはもはや国家機関の立場を超えた、宗教の領域の問題だからである。

 このような議論が問題になるのは、要するに「天皇」の地位が、「憲法上の近代国家の機関」という側面と、「神道における皇祖神の子孫」という側面と、2つの面を持っているからである。この点についてはまた機会を改めて論じてみようと思う。

(★注)もっとも、特定の宗教の権威を憲法に組み込んだ例は現代でもないわけではない。たとえばイラン・イスラム共和国やタイ王国の憲法が例として挙げられる。イランやタイのように、憲法に宗教の権威を明記するということだろうか。

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