最近のトラックバック

人気ブログランキング


フォト

« トランプは「差別主義者」ではなく「詐欺師」ではないのか | トップページ | トランプを安直に「ヒトラー」に喩えない方が良いのでは? »

トランプの支持層が「見えていなかった」ということ

 米国大統領選挙でトランプが当選したことについては様々な分析ができると思うが、メディアがその支持層の強さを見落としていたということについては、既にいろいろな論者が触れている。細かいデータを検証する余裕はないが、その支持層は、米国の内陸部の州を中心とした、わりと没落の危機にさらされている保守的な白人の中間層ということができるのだろう。「白人の貧困層」という論者もいるが、貧困層に集中しているわけではないことは、データでも裏付けられているようである。

こういう保守的な白人中間層が存在していることを知らない者はいなかったのだろうが、主要なメディアは特に取り上げることはほとんど無かったのかも知れない。
米国では、黒人の存在はわかっていても白人に無視されるという意味で、「黒人は透明な人間だ」と比喩的にいっている論考をかつて読んだことがある。この言い方を借りれば、現在の米国では、内陸部に主として住んでいる没落しつつある白人中間層こそは、主要メディアにとって、まさに「透明な人間」となっていたといえる。

 「トランプもサンダースも貧困層にアピールした」という論説も見受けられるが、おそらくは、ヒスパニック系の移民や黒人などの貧困層は、基本的にサンダースを支持し、その後もヒラリーを支持したか、棄権したかは別として、トランプにはさほど流れなかったのではないか。
 ヒスパニックや黒人などの貧困層と、白人の没落中間層では、その意味合いがまったく違う。前者はおおむね最初から貧しかったが、後者はそこそこ豊かな生活だったのに貧困に落ち込む危機に見舞われているのである。
 一般的にいえば、最初から貧しい前者の層は、失うものはないので、社会に対して怒りを感じて変革に賭けるか、日々の仕事を通じた何らかの上昇を希望するか、いずれにしても何かを新たに手に入れる方向の意識になりやすいのではないだろうか。
 これに対して、後者の没落する中間層は、良かった状態から没落してきているわけだから、失われた過去や良き伝統への回帰とか現状の防衛のために躍起になる傾向があると言えそうである。

 また、いわゆる経済のグローバル化や市場競争激化という現象の中でも、移民の貧困層と、没落しつつある白人中間層とでは、意識は同じではないだろう。
 新たに米国にやってくる移民は、グローバル化の現象の一部であって、その利益の分け前を得ようとして必死になって働く存在である。
 これに対して、没落している中間層の白人は、グローバル化や市場競争激化によって、職を失ったり労働条件が悪化したり地域のコミュニティが解体されたりで、不利益をこうむっていると感じているのである。(ただし本当に不利益しか受けていないと言えるのかどうかは疑問の余地が大いにあるだろう。)

 グローバルな資本主義は、国籍にかかわらず利益を上げてくれる労働者や管理職を必要とするから、その意味では、白人などでなかった者にとっては、雇用や生活向上への「「チャンス」を与えてくれるという一面をもつ。マイノリティも大都市部の企業経営層もヒラリーを支持するという現象は、これで説明がつくだろう。

« トランプは「差別主義者」ではなく「詐欺師」ではないのか | トップページ | トランプを安直に「ヒトラー」に喩えない方が良いのでは? »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/454842/68415705

この記事へのトラックバック一覧です: トランプの支持層が「見えていなかった」ということ:

« トランプは「差別主義者」ではなく「詐欺師」ではないのか | トップページ | トランプを安直に「ヒトラー」に喩えない方が良いのでは? »

2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            
無料ブログはココログ