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蓮舫と外患誘致罪と法律事務所の広告

またまた民進党の蓮舫代表に対する「告発」について。

(ここでも繰り返しになるが、これは、蓮舫の言動についての是非とか政治的な評価とか価値判断はここでは一切立ち入らず、法律面での興味だけに基づいて書く記事である。)

 ネットで何となく見ていたら、蓮舫議員について「国籍法・公職選挙法違反」と「公正証書原本不実記載等」の他に、「外患誘致」で告発した人もいるようで、これはいささか驚いている。
 外患誘致についての「告発状」もネットで公開されている(これが東京地検に実際に提出された告発状の内容と同じかどうかはわからない。)
 「国籍法・公職選挙法違反」と「公正証書原本不実記載等」については一部の新聞で報道されたが、「外患誘致」についてはどこのメディアも黙殺しているようである。

 さて、まず結論からいうと、外患誘致罪にはまったく該当しない

 外患誘致罪が成り立たないのはあまりにも明らかなので、わざわざ真面目に否定的なコメントや説明をする人すらいないのかも知れないが、この件に興味のある人のため、一応簡単に説明しておきたい。

 なぜ蓮舫の行為が外患誘致罪に該当しないかというと、単純に外患誘致罪が成立するための要件(構成要件)を満たしていないからであり、それに尽きる。

 といっても、これだけではトートロジーのようになってしまうので、具体的に説明すると、ある人間の行為について外患誘致罪が成立するには、

(1)その者が、日本国に対する武力行使について、外国政府と通謀したこと
(2)上記の通謀の結果として、日本国への武力の行使がなされたこと

この2つの要件が充たされなければならない。
ここでいう「通謀」とは、意思を連絡し合って、合意が成立することまでが必要とされる。外国政府の関係者との雑談で何となく話題に出した、という程度では足りない。

また、外国政府との通謀とは関係なく、外国政府が一方的に武力行使を決めて攻撃してきた場合も、上記の(2)の部分だけが存在して(1)は欠けていることになるから、外患誘致罪は成立しない。 

たとえば、

(1)平成〇年〇月頃、A国の外務大臣と、北海道への攻撃について話し合い、合意に達した。
(2)上記の通謀に基づいて、A国政府は、北海道を攻撃する決定を下し、平成〇年〇月〇日午前〇時、同国空軍は、北海道××地域に対して空対地ミサイルによる攻撃を行った

というところまで具体的にいって、はじめて外患誘致罪が成立するわけである。

 従って、蓮舫を外患誘致で告発したいのであれば、

(1)日本国に対する武力行使について、どこの国と、どのように通謀したのか
(2)その結果として、日本国に、その国が、どのように武力行使をしたのか

について説明する必要があるのだが、もちろんそんなことは無理である。
((1)の部分は、たとえば「中国政府の要人といろいろな話題について仲良く話し合った」というだけではもちろん該当しない。「中国政府の要人と、日本に対する武力攻撃について話し合った」というところまで踏み込むことができなければならない。)

 あまり良い喩えではないが、本件で「外患誘致罪」の成立を主張するのは、比喩的にいえば、誰が殺されたという肝心な部分の説明がないのに、殺人罪の成立を主張するようなものである。(氏名不詳でもかまわないが、殺されたのは特定の人間でなければならない。)

なお、外患誘致には、「未遂」と「予備・陰謀」がある。
未遂が成立するためには、少なくとも、日本への武力攻撃について外国と話し合いをするところまでいかなければならない。
予備・陰謀の場合は、日本への武力攻撃についての外国との話し合いの準備行為や謀議をする場合であり、「武力攻撃についての話し合いの準備行為」を具体的に説明できなければならない。
従って、外患誘致の未遂や予備・陰謀についても告発するのは無理だろう。

 ところでこの話題が広がったのは、高島章弁護士という人が、9月にtwitterで次のようにつぶやいて話題を呼んだことが一因なのではないかと思う。https://twitter.com/BarlKarth/status/775894492276662272

 高島弁護士とは面識はないが、刑事事件を多く手がけておられる方のようで、上記のtwitterをよく読んでみると、蓮舫をネタにしているのではなく、むしろアトム法律事務所というところをネタにしてブラックジョークを飛ばしていることがわかる。蓮舫は二次的な材料に過ぎない。

 アトム法律事務所というのは(高島弁護士とは別な事務所)、刑事事件専門として手広く広告をしている東京の弁護士の事務所だが、その公式サイトで、「外患誘致罪で逮捕されたら・・・」などという記事があったので、それを見て高島弁護士が面白おかしく触れたのだろう。

http://www.atombengo.com/news/keijibengopost12620.html#breadcrumb

 刑事事件専門の弁護士の広告で「窃盗で逮捕されたら当事務所にご相談ください」とか「強制わいせつで逮捕されたら弁護はおまかせを」というならわかるが、「外患誘致罪で逮捕されたら・・・」というのは、いささか非現実的で面白い。アトム法律事務所の先生方は、受け狙いでやったのだろうか。普通は経験しないようなそんな罪名をわざわざ広告に書いたので、同業界の高島弁護士からネタにされたというわけである。

 (★さらに見てみると、アトム法律事務所の公式サイトには「内乱罪で逮捕されたら・・・」とか「私戦予備罪で逮捕されたら・・・」などというのもあった。)

 そこまでは良いとして、上記の高島弁護士のtwitterに対するネットでのいろいろな反応を観察してみると、どうも、蓮舫について外患誘致罪が成り立つ可能性が一応ある(or処罰までいくかどうかは別として、一応まじめに議論してみる価値はある)・・・と、ジョークではなく本気で思い込んでしまった人が一定の程度いたように思われる。

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