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少年犯罪と少年法と厳罰化

 Yahoo!ニュースに「『少年法』厳罰化に効果はあるか」という記事があり、河合幹雄(桐蔭横浜大学法学部法律学科教授)、岡田尊司(精神科医)、藤井誠二(ノンフィクションライター)、中澤照子(保護司)の4名の論者がそれぞれの見解を述べている。

 この記事の内容はリンク先を読めば良いのでここでは紹介しないが、ともあれ少年による凶悪な犯罪が起こるたびに、「少年法は機能していない」とか「厳罰化すべき」という声が聴かれがちで、極端な場合、「少年法を廃止して厳罰化せよ」という意見すらある。

 それではまず、仮に少年法を「廃止」するとどうなるかといえば、犯罪を犯した少年に対しては、少年法ではなく刑法が適用されることになるから、少年院で教育することをやめて、刑罰を科するということになる。まずここでは、少年院は刑罰施設ではなく、強制的な教育のための施設であることを覚えておこう。この意味で刑務所とはまったく機能が違う。
 (少年院の概要については、法務省のサイトで見ることができる。)

 刑罰には、死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料および没収があるが、実質的に問題になるのはほとんどの場合が、死刑から罰金までの4種類だろう。死刑はとりあえずおいておいて、少年法を廃止した場合、現行制度であれば少年院に収容されるようなケースであっても、刑務所に収容される場合が当然多く出てくる。
 (ただし逆に、罰金を科されるだけで終わる場合も出てくるだろう。つまりどこにも収容されず、何の教育も受けず、金を払うだけで終わるケースも出てくるということである。)

 一方、「厳罰化」というのは、もう少し具体的にいえば、死刑や無期刑が適用される範囲を拡大すること、また有期刑の刑期を広げるということになるだろう。
 この「厳罰化」については、犯罪予防に効果がないと言われることがある。
 しかし正確にいえば、少なくともただ一点、「社会からの隔離による本人の再犯予防」という意味では「厳罰化」は効果がある。
 死刑や無期の場合は、ほぼ完全に再犯の可能性が根絶されるし、有期刑の場合も、たとえば従来懲役3年だった事案を5年にするならば、再犯ができない期間がそれだけ伸びることになるから、その意味では犯罪予防が強化されることになる。(正確に言えば、仮釈放の制度があるので、刑期そのまま服役するとは限らないが。)

 ただし、ここで考えなければならないのは、死刑や無期刑でない限り、いつかは社会に戻ってくるということである。
 懲役3年なら遅くとも3年後、懲役7年なら7年後に、その少年は社会に復帰する。

 もちろんこれは少年犯罪者に限らず、どんな犯罪者であっても同じことだが、特に少年の場合は、人格・精神の成長期だということを考えなければならない
 14歳や15歳の多感な時期の少年を、学校や少年院(どちらも教育施設である)ではなく刑務所に入れて、何年間もそこで生活させ、再び社会に戻す場合、どのようなことになるだろうか。
 刑務所は教育施設ではなく、自由を奪って監禁し、場合によっては強制労働(懲役)をさせることが目的の場所である。そこには「育成」の観点はないし、むしろ性格形成に悪影響を与えることすらある。

 刑期を長くすればするほど、その間は社会から隔離されて再犯が阻止されるが、逆にそのぶんだけ、刑期を終えた後の社会復帰は困難になるといえる。下手をすれば、刑務所に長く閉じ込めることが成長期の人格形成をゆがめて、なおさら悪化させ、再犯の可能性をむしろ高める危険すらある。たとえば14歳の少年を、少年院ではなく刑務所に入れて、10年後に社会に戻すとしたら、どのような人間になって出てくるだろうか、少しでも想像してみると良いだろう。

 この問題は単純に答えが出るものではないし、法制度だけで少年犯罪を減らせるというものでもない。逆に刑罰が軽ければ軽いほど良いなどというつもりもない。また被害者の救済はこれとは別次元で考えなければならないことである。
 重要なことは、どんな犯罪を犯した少年だろうと、死刑や無期刑になるケースを除いて、ほとんどはいつか必ず社会に戻ってくるということである。少年法を廃止しようとしまいと、厳罰化しようとしまいと、その点は変わらない。そこまで考えて制度を設計しなければならない。

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コメント

少年法で刑罰がないというのは極端で、少年法は刑法を合わせて刑罰を裁定するべきです。
同年の少年で誕生日が先に来たAは20歳、Bは19歳
犯罪を犯したAとBが異なる法律で裁かれるとすれば、こんな矛盾を説明する術がない。
出所した元少年が社会から厳しい目で扱われてこそ、更生しなければならないという事。
社会制裁は間違った事ではなく、人は生きてきた過去をずっと背負って生きてゆく義務があるということです。
結婚する時にバツ1かどうかを相手から判断されたりするのは、差別ではなく当たり前のこと。
厳しいからこそ更生できるのです。
厳しくなければそもそも更生する意味すらなくなります。

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