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東京メトロの売店の正社員と非正社員の待遇格差問題について

 少し前の記事になるが、地下鉄(東京メトロ。旧営団地下鉄)の売店で非正社員として働く女性が、正社員との待遇の格差は労働契約法20条違反だとして、会社側(東京メトロの子会社)を訴え、2014年から東京地裁で争っている。(朝日新聞の記事参照

 問題となっている労働契約法20条は、有期労働契約の労働者(ここでは「非正社員」「契約社員」と考えて良い)と、期間の定めのない労働契約の労働者(「正社員」と考えて良い)との労働条件の違いが、
 ①職務の内容
 ②職務の内容と配置の変更の範囲
 ③その他の事情
を考慮して、不合理と認められるものであってはならないとしている。

 この事案について、いろいろな記事を見た限りでは、原告(非正社員の女性)は4名で、2004年~2006年に採用されたそうであり、売店では正社員も非正社員も同じ仕事をしているにもかかわらず、後者は賃金がかなり低く退職金等もなくと、また訴訟を提起した2014年時点では売店の店員は全部で114名で、そのうち正社員は19名だけだということだが、それ以上詳しいことはあまりわからない。

 なお社民党の福島みずほの国会での発言 によれば、正社員も非正社員も、売店での仕事の権限・責任は同じで、他部署への異動がほとんどない点も同じだそうである。

 ということは、この売店の正社員は、将来他部署を経験したりして本社の管理職に昇進する候補というわけでもなく、正社員だろうと契約社員だろうと、とにかくいわゆる「売り子」「店員」に専念する前提で採用され勤務しているということだろうか。

 さて、今このエントリで考えてみたいのは、この事案をどう判断・解決すべきかということではなく、何よりもまず、売店でまったく同じ仕事を続けることが想定されているのだとすれば、なぜ正社員と契約社員の両方の区分の社員をわざわざ採用したのかということである。

 「すべて正社員」または「すべて契約社員」というなら理解できる。また、正社員をメインとして、臨時の補助として契約社員を雇用して補充するというのも理解できる。しかし本件はそのどれでもなく、売店の114名中正社員は19名だけという体制で長期間続けているのである。その理由は何だろうか。

 とりあえず現時点での私の勝手な推測というか仮説をいうと、次のとおりである。

 まず前提知識として、①東京メトロ(東京地下鉄株式会社)は、2004年までは、公法人の帝都高速度交通営団だったこと、また②その売店を扱う子会社は「地下鉄トラベルサービス」という会社だったこと、③2004年に民営化されて東京メトロとなり、子会社もメトロコマースという会社に変わったこと、について触れておく。

 そのうえでの私の推測は:

1. 民営化前の公法人である帝都高速度交通営団の子会社の時代は、売店の店員も全員が正社員だった 

2.民営化(2004年)の時に、売店業務については、基幹業務ではないので正社員にやらせるまでもないと考え、また人件費削減の方針もあって、今後新たに採用するのは契約社員(非正規)だけにすることにした 

3.ただし、民営化の前の昔から継続して雇用されていた売店の店員は、解雇するわけにはいかず、一方的に労働条件を不利益に変更することもできないので、そのまま正社員の(良好な)労働条件のまま勤務し続けて年齢を重ね、現在に至っている
 会社は、この人たちが定年で全員退職するのを待っている(=いずれ売店勤務は全員が非正社員に置き換わる予定ということになる)
 

4.上記2の、民営化後に非正規で採用された売店店員たちが、3の正社員(の残り)の人たちと比べて、同じ仕事なのに賃金等の待遇が低すぎるとして、今回、訴訟になった

・・・ということではないかということである。

 つまり、今回の原告の契約社員の人々は、ひらたく言えば「正社員並みにしてほしい」として訴訟を起こしている一方で、会社側のホンネとしては「正社員はいずれ定年で売店からいなくなり、すべて非正社員に置き換わる」という方針でいるのではないかというのが、私の仮説である。会社は「正社員」「契約社員」の両方を毎回採用し続けているわけではなく、前者は民営化前に採用された人たちが残っているだけで、いずれ後者だけになる予定ということではないか。

 今回の原告4名のうち最も早く採用されたのが2004年(=民営化の年)という事実も、上記の推測を裏付けているように思われる。

 以上はあくまで推測なので、違っていたらご容赦いただきたい。
 いずれにしても判決が出たら分析してみたい事案である。

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