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人外の怪物としての「IS」(イスラム国)

 報道によれば、ベルリンのクリスマス市にトラックが突入し12人が死亡した事件について、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」系の通信社は20日、ISの「兵士」による犯行だったと主張する声明を出し、「イスラム国の兵士が、有志連合の参加国の市民を狙えとの呼び掛けに応じ、ベルリンでの作戦を実行した」と主張したという。

 第二次大戦後に限ってみても、先進国でテロを行った組織は、ISが初めてではない。過去には、マルクス主義の過激な極左組織(日本赤軍、ドイツ赤軍、赤い旅団等)や、パレスチナ解放運動などによるテロも存在した。

 ただ、これらの過去の組織に対しては、テロ攻撃が行われる対象の先進国のメディアや“リベラル”な知識人が、ある程度支持や称賛を示すこともあった。それは、これらの過去の組織は、どちらかといえば政府機関や企業などに対するテロが中心で、一般大衆を狙ったテロはさほど起こさなかったこともあり、また、その主張や理念には「労働者の解放」とか「パレスチナの解放」など、必ずしも否定できない部分も一応含まれていたこともあるだろう。
 「手段は暴力的で肯定できないが、その目的や理念をすべて無視・否定するのも妥当ではない」とか「彼らの主張にも一応は耳を傾けるべきだ」という言説が、それなりに成り立っていたといえるだろう。

 これらの過去のテロ組織と比べてみると、言論の世界でのISの位置づけは、根本的に異なっている。リベラルな知識層やメディアの言論人からみても、ISの主張に共鳴や共感の余地はまったく無く、「相手の言うことにも一理ある」という言い方すら許容されなくなっており、その意味である意味ナチスに近い位置づけになっていると言えるだろう。

 ISが出現したことで、先進国の言説空間には、久しぶりに、社会の基本的な原理から見てまったく異質であり対話不可能な、他者・異物としての「敵」が存在するようになったといえるだろう。

 仮定の問題として、ISと先進国が交渉をすること自体が絶対に不可能というわけではないだろう。たとえば「ISを正統な国家として認める」ということを条件として交渉を持ち掛ければ、IS側もそれなりに何らかの肯定的な交換条件を提示してくると思われる。
 ただし実際の政治の動きとしては、そのような行動を先進国側が取るのは不可能だろう。またISが自ら行っていることを喧伝している行為を見るならば、リベラルな知識人やメディアがISとの交渉やISへの支持を呼びかけるのも不可能である(というか、自殺行為になる)。

 ISは、先進国の言説空間の中では、ナチス以来、久しぶりに出現した、「退治するしかない怪物」「一切の共感や支持を表明することが許されない、人外のような存在」となったのである。

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