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何のための「労働時間削減」なのか

 電通で若い女性社員の高橋まつりさんが自殺した事件が大きく報道されて以降、「残業抑制」「労働時間削減」が社会全体で、従来以上に強く叫ばれるようになった。

 ここでは、この労働時間削減について思いついたことを二三点、書き留めておきたい。

1.「労働時間の削減」は、生産性向上のためなのか?

 時々、「労働時間を削減すれば、生産性が向上します。」という言い方をする論者がメディアに見受けられる。このこと自体は間違いではない。(もう少し正確にいえば、企業レベルで売上その他の条件を変えないまま労働時間を削減すれば、時間あたりの労働生産性は向上する。)

 ただ、ここで疑問を感じる。生産性向上のために、労働時間の削減をするということなのだろうか?一番重要な目的は、生産性向上なのか?労働時間の削減は、生産性向上のための手段にすぎないのだろうか?
 そうだとすれば、仮に労働時間を長くした方が生産性が向上するのであれば、労働時間を逆に長くするべきだというのだろうか?

 そういう問題ではないだろう。労働時間の削減は、働く人間の健康や家庭生活のためであって、生産性向上のために行うものではないだろう。

 逆ならば、理解できる。「生産性を向上させれば(=短い時間で同じ売上や利益等が維持できるような仕事の仕組みにできるなら)、労働時間を削減できる」ということである。

2.電通の事件の本質は「長時間労働」だったのか?

 電通の自殺事件では、女性社員が長時間労働をしていたことが明らかとなっている。過剰な残業と自殺とに因果関係はあるのだろうが、問題の本質はそこなのだろうか。残業時間がもう少し短ければ自殺しなかったのだろうか。むしろ組織での立ち位置とか、上司の指示や対応の仕方とか、全体的な雰囲気とか、いわゆるパワハラやセクハラとか、そのような要因がかなり影響していたのではないかとも思うのだが、どうだろう。
 ただ、労働時間は何らかのデータとして表に現れやすいのに対して、組織とか人間関係のような要素は外部からはわかりにくく、内部の人間も口を閉ざしているのでは、解明は難しいのかも知れない。

3.「労働時間の削減」は労働の強化をもたらすこともある

 労働基準法の考え方でいえば、1日の労働時間が短くなることは望ましいことである(たまに勘違いしている人もいるが、労基法で1日8時間が原則とされているからといって、8時間働かせなければならないということではない。労基法は、1日の労働を8時間より短くすることを禁止しているわけではない)。1日12時間働かせるよりは、10時間、さらに8時間のほうが好ましいことになる。

 ただ、従来10時間でやっていたことを8時間で済ませろということであれば、労働者にとってみれば労働の強化、つまり仕事の強度とか負荷がより高くなることにもつながりうる。このことは念頭におくべきだろう。(労働者数を増やして対応するなら別だが、現実には困難であることが多いだろう。)

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