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対馬から盗まれて韓国に持ち込まれた仏像の問題・続き

 対馬から盗まれて韓国に持ち込まれた高麗時代の仏像の問題について、さらに調べてみた。

 韓国の地方裁判所としては

(1)この仏像は、高麗時代(1330年)に作られて「浮石寺」に納められた
(2)対馬の観音寺は、倭寇集団の頭目が1526年に創建した
(3)仏像が制作された1330年以降5回にわたり倭寇がその地域に侵入した記録がある
(4)この仏像の腹蔵記録には、高麗から日本に正常な形で移されたことを示す記載はない
(5)この仏像には、本来あるべき宝冠等がなく、焼け焦げた跡がある

・・・等を根拠として、この仏像は、倭寇によって略奪された後、対馬に運び込まれて、観音寺に置かれることになったと推認したようである。
(以上の(1)~(5)が事実なのかどうかは、もちろん私にはわからない。
ただ、韓国の裁判所は、この(1)~(5)の事実が存在することを認めたうえで、そこから、結論を導いている。)

 このあたりは、以下の韓国メディアの記事が比較的詳しい。

ハンギョレ新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170127-00026356-hankyoreh-kr
中央日報
http://japanese.joins.com/article/129/225129.html?servcode=A00&sectcode=A10&cloc=jp|article|ichioshi

 次の疑問として、仮に上記のとおり、この仏像が倭寇によって奪われて対馬に運び込まれたものだとしても、既に観音寺の所有物になっているのではないか、ということである。

 近代より前の時代の所有権の考え方をどう見るかは難しいところなので、ここでは触れないでおくが、とりあえず近代の民法が施行された後の段階だけで考えてみても、「取得時効」という概念があるはずである。
 仮に盗まれたものであることがわかっていたとしても、平穏かつ公然と20年以上占有していれば、所有権を取得するのである。
 観音寺(の宗教法人)は、当然ながら20年以上、この仏像を占有していたわけであるから、日本の民法を前提とするならば、既に観音寺の所有物になっているといえる。

 この点、韓国の民法はどうかといえば、やはり「取得時効」の概念はあるので、日本と大差はないようである。
 (★なお、1910年以降の日韓併合の時代、「朝鮮民事令」という法令により、基本的に朝鮮半島でも日本の民法に拠ることとされていた。私に細かい知識はないので、機会があればもう少し調べてみたいと思う。)

 このように「時効によって取得している」という議論が、裁判でどのように扱われたのかは、定かではない。

 (もっとも、時効によって取得したことを主張できるのは、観音寺であって、韓国政府ではないということかも知れない。
 今回の裁判は、日本への返還を考える韓国政府と、所有権を主張する浮石寺との間の争いであって、観音寺は当事者ではないことに注意。)

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