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上野千鶴子の「平等に貧しくなろう」論について:感情的反発は無意味である

 東京新聞が建国記念日にちなんで、「この国のかたち」のあり方について3人の論者にインタビューをしたが、そのうち上野千鶴子の発言「平等に貧しくなろう」が反響を呼んでいるようだ。

 上野千鶴子の論旨は次のとおりである:

 (1)出生による人口の自然増は期待できない

 (2)移民受入による人口の社会増も、日本では無理だろう

 (3)人口減少による衰退、貧困化は避けられない

 (4)どうせ衰退・貧困化するならば、(放置するのではなく)再分配により平等に貧しくなる道を探るべきである

このインタビューはネットなどで拡散されて大きな反響を呼んだようである。
たとえば:

・上野千鶴子の“平等に貧困”に呆れ(いいんちょ)
http://blogos.com/article/209925/

・「平等に貧しくなろう」は不可能。船は下から沈むし、人は希望があるから生きていける (おときた駿・都議会議員)
http://blogos.com/article/209949/

 私があちこちの反応を見た限りでは、「上野千鶴子は恵まれた世代・地位の人物であり、自分が経済的にも安定した立場でありながら、後の世代を見捨てるような発言をするのは無責任でけしからん」という類いの感情的な反応か、あるいは「希望を失わせるようなことを言うのはおかしい」という精神論的な反応が目立つ。

 ただしここで考えなければいけないのは、日本が将来どうなるか(どうすべきか)であって、上野千鶴子の人物像や態度をどう評価するかではない。
 つまり重要なのは、日本が現実に衰退するかどうか、将来どうすべきかであって、上野千鶴子という一学者が恵まれた世代なのかどうかとか、身勝手で無責任なのかどうかではないのである。

 日本の将来像において上野千鶴子が示している前提条件は、上記のとおり、(1)出生率は上がらない、(2)移民も無理、という2点であって、そこから(3)の衰退不可避という結論が導き出されている。

 そのうえで、どうせ衰退するなら、再分配によって平等に痛みを分かち合い貧しくなろう、ということである。

 そこで、上野千鶴子の主張が気にいらないというのであれば、この問題提起に答える形で反論すべきであって、

 (1)出生率を上げる方法がある

 (2)移民を受け入れるべきである

 (3)出生率向上や移民受入がなくても、人口を維持増加させる手段がある(例:クローン人間)

 (3)'人口が減少しても、経済発展を維持させる手段がある(例:AIやロボットによる労働力代替の推進)

等々の形の主張を組み立てなければならない。

 反論するならこのように論旨に沿った形でやるべきであって、いたずらに感情的・短絡的に上野千鶴子に反論したところで何の意味もないのである。

 特に「上野千鶴子は、自分自身では恵まれている立場なのに、なんでこんなことを言うのか」という人は、個人的なやっかみでしかない。個人的やっかみがダメだというのではないが、問題の中身に踏み込んだ議論にはつながらない。
 たとえば氷河期世代の論者がこのインタビューとまったく同じ「平等に貧しくなろう」論を語ったとしたら、「さすが苦労した氷河期世代だ、よくわかってる、支持すべきだ」ということになるのだろうか。そういう問題ではないだろう。

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