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クックパッドのレシピで健康被害が起こった場合の責任は?

 東京で生後6ヶ月の乳児が、蜂蜜の入った離乳食が原因で、乳児ボツリヌス症により死亡したという事故のニュースをきっかけに、蜂蜜入り離乳食のレシピを掲載していたクックパッドにも批判が集まった。批判を受けてクックパッドは、「1歳未満の乳児に蜂蜜を与えないで下さい」という警告を掲載している。

 今回の事故そのものは、クックパッドのレシピによって引き起こされたわけではないようだが、仮にクックパッドに掲載されたレシピに重大な欠陥があって、それに従って作った料理でユーザーに健康被害が起こった場合、運営しているクックパッド(株)は責任を負うのだろうか。ここでは法的観点で考えてみたい。

 まず、欠陥レシピそのものを掲載して不特定多数に情報提供をしたという点で、クックパッド(株)に一定の責任が発生しうることを否定するのは困難だろう。
 クックパッドのレシピは、ユーザーが実際に料理に使うことを前提として掲載しているのであり、欠陥レシピであれば健康被害が生じうることは、クックパッド(株)としても当然に予見できる。

  (*もちろん、現代の科学の水準で健康被害が予見できないような欠陥というのであれば話は別である。いずれにしても、詳しい議論は割愛するが、ここでは、クックパッド(株)に、民法でいう「不法行為責任」が成立することを前提とする。

   なお、2ちゃんねるのような匿名掲示板に掲載されたレシピと、クックパッドのレシピとで、健康被害が起こった場合の責任の評価が違ってくるかどうか、という論点もあるだろう。ここではあまり深入りできないが、単にどこかの誰かが掲示板にレシピを書き込んだものが表示されているだけの場合(2ちゃんねる)と、企業が、積極的にレシピを掲載するサイトであることを売りにして、ユーザーを誘っているような場合(クックパッド)とでは、同列に考えることはできないだろう。)

 ただ、クックパッドのサイトには、「利用規約」へのリンクがあり(ただし目立つところに貼ってあるわけではない)、この「利用規約」には 「本サービスをご利用される場合には、本利用規約に同意したものとみなされます。」「利用者は、利用者自身の自己責任において本サービスを利用するものとし、本サービスを利用してなされた一切の行為およびその結果についてその責任を負うものとします。」などという条項がある。

 これだけ見ると、クックパッドのサイトを利用した以上は利用規約に同意したとみなされ、その利用規約には自己責任の規定もあるから、健康被害が起こってもユーザーの自己責任で済まされるかのようにも見える。

 しかし、「本サービスを利用する場合には、本利用規約に同意したものとみなす」というのは、あくまでもクックパッド(株)が勝手にそのように述べているだけである。クックパッド(株)が一方的に述べているだけなのに、ユーザーが拘束されるとはいえないだろう。

 ユーザーを拘束できるためには、クックパッド(株)とユーザーとの間に、何らかの「契約」が成立しているといえなければならない。そして、契約が成立しているといえるためには、両方の当事者の間で意思表示が合致している必要がある。

 この件では、クックパッドが一方的に利用規約を記載してリンクを貼り、「利用したら、本利用規約に同意したとみなす」と勝手に宣言しているだけであって、そこにはユーザーの意思表示はまったく介在していない。

 このように、一方の側が一方的に何か宣言しているだけでは、契約が成立したとはいえないのであって、相手側からの何らかの意思表示といえるものも必要である。

 たとえば、ユーザーがレシピを見ようとすると、「本利用規約に同意します」というクリックボタンが画面に表示されて、そのボタンをユーザーが押して初めてレシピが表示されてくる、という構造であれば、話は別である。そこでは、ユーザーが「同意します」のボタンをクリックする形で「意思表示」をしたことになるからである。

 ところがクックパッドのサイトの場合は、このユーザー側からの意思表示は何も存在しないし、そもそも利用規約があることすら知らなくてもレシピを見ることができてしまうのである。これでは、ユーザーが利用規約に同意したと解釈することはできない。
 従って「自己責任」についての規定も適用されないことになる。(なおユーザーが「会員登録」などをする場合は、また違ってくる。登録をする時点で、ユーザーの「意思表示」が発生しうるからである。)

 それでは、健康被害が起こった場合に、クックパッドがその損害について100%損害賠償責任を負わなければならないのかというと、それはまた別問題である。クックパッドに掲載された欠陥レシピについて、健康上の問題について確認もせずそのままうのみにして利用した場合、そのユーザーにも落ち度というか不注意(「過失」)があった、と判断できる場合もあるだろう。その場合は、「過失相殺」という考えに立って、損害賠償の額が減額されることになる。

 もちろん、過失相殺が認められるかどうか、またどの程度認められるかは、ケースバイケースである。たとえば、クックパッドが、サイトの中で、ユーザーにとって非常に見つけやすい位置に、大きく「このレシピの安全性を保証するものではありません。安全性についてはユーザーが自らの責任でご確認下さい」とでも表示していれば、過失相殺は認められやすくなるだろう。

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