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石川健治教授の自衛隊と憲法についての主張の考察・続き

昨日のエントリであれこれ書いたことの続き。
結局のところ、石川健治(東大教授)の主張の中核部分というかホンネ部分は、「自衛隊違憲論」ではなく「自衛隊違憲論があった方がいい論」だろう。

自衛隊違憲論があるからこそ、「自衛隊は違憲ではないか」という問いかけが常に生まれ続け、政府も自衛隊を統制して控えめな運用をせざるをえなくなる。
改憲によって自衛隊が完全に合憲になってしまうと、違憲論は消滅してしまうから、違憲論を使った歯止めがなくなり、自衛隊を統制できなくなる。
そこで石川は改憲に反対しているわけだ。

これは「違憲の自衛隊を“統制”するというのは、背理ではないか」とか「自衛隊が違憲なら、統制ではなく廃止しかなのではないか」という根本的な疑問から逃げることによって成り立つ主張である
(私自身は「自衛隊を廃止すべきだ」と考えているわけではない。)

つまり石川教授は、違憲の自衛隊の存在に反対しているのではなく、自衛隊を違憲だと言えなくなることに反対しているという点に注意を要する

これは「違憲の自衛隊は、存在しても良いが、違憲論を利用してこれを統制しなければならない。」ということである。
「自衛隊が存在しても良いなどとは言ってない」というかも知れないが、「自衛隊が存在してはならない」というのなら、廃止するしかないはずである。
自衛隊を存在させたうえで、これを違憲論で統制するというのは、「自衛隊は違憲だが、存在しても良い」といっているのとイコールである。

つまり「違憲の組織・制度でも存在して良い。ただし違憲論を使って統制すべきだ」ということである。

ここで、自衛隊に限らず、集団的自衛権を導く安保法制の違憲論についても同じことが言えるのではないかという疑問が生まれてくる。

あと10年くらいたったら、石川教授かその流れをくむ憲法学者は、
「安保法制は違憲だが、違憲論によって安保法制の運用が統制されている」
とか
「集団的自衛権の違憲論があるからこそ、集団的自衛権を抑制して運用できている」
などと言っている可能性がないとは言えない。

さらにそのうち
「日本は核兵器を持っているが、核兵器は違憲である。核兵器違憲論があるからこそ、日本は核兵器をむやみに使わないようにして、うまく核兵器を統制・運用できている」
などという時代がやって来るかも知れない。

極論はここらへんにして自衛隊に話を戻すと、「そもそも違憲の自衛隊が存在して良いのか」という根本的な疑問から逃げているという点を別にすれば、国家機構の統制システムの議論としては、「自衛隊を違憲論で統制すれば良い」というのは、一応成り立ちうる理屈ではある。

しかし、自衛隊を違憲だと考えるにもかかわらず、その自衛隊を存在させて運用し、違憲論によってそれを統制すれば良いという考え方が、(上述のとおり、統制システム論としては理解できるとしても)「立憲主義」の観点から筋が通っているといえるのかどうかまでは、私にはわからない。

「憲法に違反するものは、存在を許さない」というのが、立憲主義なのではないだろうか。「憲法に違反したものを違憲論で統制して使えば良い」というのも、立憲主義のうちに含まれるのだろうか。

★蛇足ながら若干の補足。「自衛隊は合憲だ(と思う)が、自衛隊違憲論があった方が、うまく抑制できる」とか「自衛隊は合憲であり、今後も違憲にならないような規模に抑えるべき」というなら、矛盾はない。だが私が見た限り、石川はそういう立場ではないようである。

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