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若者の死因1位は「自殺」だが、自殺する確率が中高年より高いわけではない

最近公表された厚生労働省の2017年版「自殺対策白書」によれば、

我が国における若い世代の自殺は深刻な状況にある。年代別の死因順位をみると、15~39歳の各年代の死因の第1位は自殺となっており、男女別にみると、男性では10~44歳という、学生や社会人として社会を牽引する世代において死因順位の第1位が自殺となっており、女性でも15~34歳の若い世代で死因の第1位が自殺となっている。”

とされていて、若い世代の死因の第1位が「自殺」であることが強調され、大きな反響を呼んでいるようだ。

この「自殺対策白書」は、下記のリンク先で読むことができる。

http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/jisatsu/16/

ただし、若者の死因の第1が「自殺」であることと、若者が中高年よりも確率的に自殺することが多いかどうかは、まったく別問題である

具体的に見てみよう。白書の年齢別の統計は以下の部分に掲載されている。

http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/jisatsu/16/dl/1-03.pdf

たとえば20~24歳の年齢層について、死因別の死亡率(10万人あたりの死亡者数。「%」ではないことに注意)を比べてみると、死因で1位の「自殺」は19.7、2位の「不慮の事故」が6.4、3位の「悪性新生物」(いわゆる癌などだろう)が2.9である。

これだけ見ると、なるほど若者の自殺による死亡率が非常に高いと思わされる。
以下、39歳まで5年刻みの層を見てみても、やはり最初に書いたとおり、自殺が死因の1位を占めており、死亡率はおおむね20程度である。

では、これに対して中高年はどうだろうか。

まず50~54歳の年齢層をみてみると、死因の1位は「悪性新生物」で死亡率は100.9、2位は「心疾患」で33.3で、「自殺」は3位どまりだが、死亡率はなんと26.2である。若者よりも自殺による死亡率は若干高いのだ。

このような傾向は他の年齢層でも似たようなものである。40歳~44歳と45歳~50歳までの層もそれぞれ見てみると、自殺は死因としては2位か3位にとどまるが、死亡率は20を超えていて、若者層とおおむね同じか、若干上である。

要するに、若者が中高年よりも自殺する確率が高いわけではない。自殺する確率としては、若者も中高年もおおむね同じで、敢えて言えば後者が少し上回っている。

正確にいえば、若者は、自殺以外の原因では死亡しにくい(=中高年は、自殺以外の原因で死亡しやすい)ということなのである。

中高年の死因は、「悪性新生物」や「心疾患」が上位に入ってくるので、「自殺」の順位が下がっているだけなのだ。若者が「悪性新生物」や「心疾患」になる確率が低いのは、ある意味当然だろう。だからこそ、「自殺」が上位になっているだけなのだ。

もちろん自殺対策は必要だし、さらにここでは触れる余裕はないが、国際的に比較してみると、日本人の自殺率は高い部類に入るようだ。
ただし「若者は中高年より自殺しやすい」と考える人がいたとしたら、それは誤解である。若者も中高年も自殺による死亡率に大きな違いはないということは、理解しておかなければならない

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