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稲田朋美防衛大臣の発言と自衛隊法と公職選挙法

都議会選挙で、自民党の候補について「自衛隊としても」応援をお願いしたという稲田朋美防衛大臣の発言が問題となっている。

具体的な法律に照らして検討してみよう。

まず自衛隊法61条1項で
隊員は、政党又は政令で定める政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法をもつてするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除くほか、政令で定める政治的行為をしてはならない。」
とある。

これだけを見ると、まず、政党などのための寄付金集めをしてはいけないのは何となくわかる。ただ、「政治的目的」と「政治的行為」とは具体的にどこまでの範囲を指しているのかよくわからないが、これは政令で定めることになっている。

この「政令」が、自衛隊法施行令である。
自衛隊施行令86条1号によれば、禁止される「政治的目的」の例として

衆議院議員、参議院議員、地方公共団体の長、地方公共団体の議会の議員・・・の選挙において、特定の候補者を支持し、又はこれに反対すること

があり、さらに87条1項8号によれば、禁止される「政治的行為」の例として

政治的目的をもつて、前条第一号に掲げる選挙・・・において、投票するように又はしないように勧誘運動をすること

とある。

すると、都議会選挙で「自民党候補に投票するように、自衛隊としてお願いするという稲田朋美の発言はそのまま自衛隊法違反ということになりそうだが、自衛隊法で政治的行為が禁じられているのは、「隊員」である。
「隊員」とは、自衛隊法2条5項によれば

防衛省の職員で、防衛大臣、防衛副大臣、防衛大臣政務官、防衛大臣補佐官、防衛大臣政策参与、防衛大臣秘書官、第一項の政令で定める合議制の機関の委員、同項の政令で定める部局に勤務する職員及び同項の政令で定める職にある職員以外のものをいう

とされているので、たとえば統幕議長や東部方面総監は「隊員」に含まれるが、防衛大臣は「隊員」ではないので、稲田自身が自衛隊法違反の罪そのものに直接問われるということにはならない。

(ちなみに自衛隊法61条1項に違反して「隊員」が政治的行為を行った場合、3年以下の懲役または禁固に処せられる(同法119条1項1号)。

ただし、防衛大臣が、防衛大臣の立場で、自衛隊が自衛隊法違反の行為をすることを前提とした発言を公に行ったということになるから、防衛大臣としては不適格ということになるだろう。

またこれとは別に、公職選挙法違反の問題がある。

詳細ははぶくが、公選法136条の2では、公務員(防衛大臣も含まれる)が、候補者を推薦し、支持する目的をもって、その地位を利用して、候補者の推薦に関与し、若しくは関与することを援助し、又は他人をしてこれらの行為をさせることを禁止している。

選挙について「防衛省として、自衛隊としてお願いしたい」という言い方をした稲田の発言は、ここでは、防衛大臣としての地位を利用した都議選の候補者支援活動ではないかということで、問題となるわけである。

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