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米国の憲法が戦後6回改正されたからといって、日本も改憲しなければおかしいのか?

 だいぶブログの更新をしないまま放置してしまったが、今回は憲法の話題。

 日本国憲法は施行以来一度も改正されていないが、この点について、下記のように「諸外国では頻繁に改憲をしているのに、なぜ日本はやらないのか」という感じの主張をする人が見受けられる。

 たとえばこんな説明がツィッターで流れてきた。

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 国によりそれぞれ事情は違うが、さしあたって米国と比較してみよう。

 米国の憲法は上記の例のとおり、第二次大戦後6回改正されているが、その内容は次の通りである:

①1951年・・・修正22条 大統領の三選禁止
②1961年・・・修正23条 コロンビア特別区の大統領選挙人の選任
③1964年・・・修正24条 納税による選挙権の差別の禁止
④1967年・・・修正25条 大統領職の承継、代理
⑤1971年・・・修正26条 18歳以上の市民による選挙権
⑥1992年・・・修正27条 議員報酬の改定に関する制限

 このうち①は米国特有の事情があり特殊な例である。
 一方②⑤は、日本でいえば公職選挙法、以下同様に④は内閣法、⑥は「国会議員の歳費、旅費および手当に関する法律」という法律で扱う事項であって、憲法を改正する必要などない問題である。
 なお③は、一部の州で、人頭税を納めない者について選挙権を制限する例が存在したため、これを違憲とするために修正を加えたものだが、日本国憲法では元々納税による選挙権の制限は許されないこととされているので、日本では起こりえない問題ある。

 このように考えると、米国が戦後6回改憲をしたといっても、②④⑤⑥は日本では法律の改正レベルで対応する問題でしかなく、③は現代日本ではありえない納税による選挙権差別があった(つまり平等原則からいえば米国憲法の方が日本より遅れていた)からこそ、それを改めるために実施された修正である。

 残るは①だが、これは大統領の再選に制限を設けているから、権力を制限する方向での改憲であり、その逆ではないことに注意を要する。

 このように考えてみると「米国は戦後6回改憲をしたが、日本は一度もしていないのはおかしい」と言えるものではないことがわかるだろう。
 要するに単純な比較は意味がないので、他の国が改正したかどうかに関係なく、日本国憲法の改正の是非は日本の課題を見ながら個別に考えれば良いだけである。

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