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日本の労働生産性がイタリアより低いって、悪いことなの?

 このブログでも時々話題にしてきたが、「日本の1人あたり労働生産性は、欧米の多くの国よりも低い」という指摘がなされることが多い。経済政策でも労働政策でも、「生産性向上」が至上命題であるかのようである。
 そこで具体的に考えて見る材料として、ここでは日本、ドイツ、イタリアの3国を比較してみよう。
 日本生産性本部のサイトで報告書を見ることができるので、これを資料として使うことにする。
 まず生産性の前に、1人あたりGDP(国内総生産)を比較してみよう。これはGDP÷人口で計算される。
 これを見ると、1人あたりGDPでは、ドイツ=48,989ドル、日本=41,534ドル、イタリア=38,328ドルであり、順位としてはドイツ>日本>イタリアである。まあ妥当な感じがする。
 それでは、肝心の1人あたり労働生産性ではどうだろうか。1人あたり労働生産性=GDP÷就業者数であり、分母から失業者や幼児などが除かれる点で、1人あたりGDPとは異なる。
 これは、イタリア=102,127ドル、ドイツ=97,927ドル、日本=81,777ドルで、なんとイタリア>ドイツ>日本なのだ。
 イタリアは、日本どころかドイツよりも労働生産性が高いのである。
 これはどういうことなのだろうか。イタリアといえば経済があまりうまくいっていないようなイメージがあるが・・・。
 そこで今度は失業率を比較してみると、イタリアは11.65%、ドイツは4.17%、日本は3.12%である。やはりイタリアは、日本とは比べものにならないほど失業率が高い。
 さて、これはどう考えたら良いのだろうか。失業率が高いイタリア経済が、なぜ1人あたり労働生産性が高いのだろうか。
 思うに、1人あたりGDPは、いわば「国民1人あたりを食わせる経済力」と言い換えることもできるのではないだろうか。
 これに対して1人あたり労働生産性は「労働者1人あたりの稼ぎ」と言い換えることができるだろう。
 つまりイタリアは、少人数の労働者が頑張って稼いでいるが、それを膨大な数の働いていない人間にも分け与えている。その結果として、最終的な1人あたりの食い扶持は小さくなった。
 一方日本は、労働者1人あたりの稼ぎはイタリアに負けてはいるが、失業率が低いから、全人口の中で見ても、雇用されて働いている人間の比率は高いのだろう。働いていない人間の比率はイタリアより低いのだから、結果として、最終的な1人あたりの食い扶持はイタリアより大きいのである。
 他の条件がすべて同じなら、日本の1人あたり労働生産性が高い方が良いに決まっている。だが、日本がイタリアに比べて「劣っている」とは言えないだろう。
 やや単純化していえば、日本も、売上や粗利に貢献していなさそうな従業員を企業が一斉に解雇したら、失業率が大幅に上昇するのと引き換えに、1人あたり労働生産性は大幅に「上昇」するだろう。「GDP÷就業者数」の分母が小さくなるのだから、当然である。だが、それが望ましい社会かどうかはまた別問題である。
(なお、売上や粗利に貢献しない従業員だからといって「無用」とは限らない。たとえば品質検査を考えてみれば良い。)

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